top of page

★開発秘話(ビオレ 18個 、めぐりズム 25個)

​1~25  ビオレ、カリテ

26~50 めぐりズム

1商品開発物語「濡れた手で使えるメイク落としジェル」①
 

1992年に濡れた手で使えるメイク落としジェルを発売しました。それまでジェルタイプのメイク落としは濡れた手で使えませんでした。この商品は狙って生まれた商品ではありませんでした。泡立つメイク落としという商品があって、夏のメイクが落ちないという課題があったので、研究に改良の依頼をしました。そうしたら、数ヶ月して、研究の担当者から、泡立たないけど夏のメイクがよく落ちる技術があるというプレゼンをうけました。泡立つメイク落としの改良を依頼して、平然と、泡立たないメイク落としを返す研究って、どうなんだろうと思いました。しかも、液性はさらさらしていて、手に取ると、指の間から落ちます。この液性はちょっと使いにくいというと、粘度は上げられるということで、ジェル状にして、とりあえず製品の受入性を確認するということで始めました。こんなことが起きることが大事ですね。

​​​​

​​

2商品開発物語「濡れた手で使えるメイク落としジェル」②
 

ジェルタイプのメイク落としが出来たので、グループインタビューをしました。そうしたら、モニターの人から、濡れた手で使えていいという意見が多く出ました。当時のジェル状のメイク落としは、手が濡れていると使えませんでした。濡れた手で使えないという問題を解決するために商品開発をしたわけではなかったので、調査で初めて気づきたました。濡れた手で使えることが、どれだけ消費者の人にためになるのかを、この時に知りました。寒い脱衣所で裸でいたり、お風呂に入って寒いのに湯舟につかれないなど、多くの不便なことがありました。この商品開発を通じて、消費者のあきらめていた不便を見つけて解決することの大切さを勉強しました。

​​

​​

​​​

3商品開発物語「濡れた手で使えるメイク落としジェル」③

この商品開発をする時に、商品の名前の重要性を知りました。初めは、かっこよく(ブランド名)クレンジングジェルという名前でした。ですが、これだけ画期的な商品なのに、クレンジングジェルという名前では、登場感、インパクトがないからとダメ出しされて、いろいろ議論の上、(ブランド名)メイク落としという名前にしました。当時は、こんな、ある意味ダサい名前の商品がありませんでした。この時代、メイク落としはコスメが主流の時代で、化粧品はオシャレな名前の商品が多かったです。この商品が、きっと、ダサいけど、インパクトがあって、わかりやすい商品のネーミングの先駆けだったと思います。1993年のことでした。その後、商品開発で、ネーミングはとても大切な仕事としてきました。当たり前ですが、デザイン、中身と同じように大事にしないといけません。


 

​​

4商品開発物語「濡れた手で使えるメイク落としジェル」④

この商品開発をする時に、名前、キャッチコピー、能書の設計をすることの重要性を学びました。名前が一番大事で、その次に大事なのはキャッチコピー、そして裏能書の順番です。当時1993年はメイク落としはコスメ(化粧品)のカテゴリーが主流で、セルフで売られてるメイク落としは本物ではないというイメージでした。その時代に、クレンジングジェルという名前でなく、堂々と「メイク落とし」という名前で出すことが

1番大事で、次に、濡れた手で使えることが消費者にとって役立つポイントで、この特徴がキャッチコピーになりました。3番目に、ダブル洗顔がいらないという特徴でした。この3つの特徴を、名前、キャッチコピー、裏能書にふりわけて調査をした結果が最終商品になりました。特徴の内容が同じなのに、その構成を変えると購入意向が変わるということを調査で確認して、改めて、構成を考えることの重要性を感じました。

​​

​​​

5商品開発物語「泡で出てくる洗顔料」①

1994年に発売しました。今は泡で出てくる商品が多くあると思いますが、発売した時には、世の中には無かったと思います。台所洗剤では泡で出てくる洗浄剤がありました。きっかけは、その泡で出てくる洗浄剤を洗顔料に応用したらいいのではないかということから始まりました。容器開発はもちろん。決め細かい泡を作るために、配合の検討もすすめていきました。泡で出てきた時には感動しました。当時は、手でいかにキメ細かい泡が作れるかが大事なことでしした。この商品は、メイク世代の女性をターゲットに、肌にやさしい洗顔料として商品化をめざしました。調査をすると、こんなにキメ細かな泡が簡単にできて、すごく驚かれました。絶対にヒットすると思って商品開発をしました。ですが、ヒットしませんでした。。。。

6商品開発物語「泡で出てくる洗顔料」②

この商品がヒットしなかった理由として考えらるのは、いくつか要因があると思います。1つは、当時の消費者の洗顔行動として、洗顔料をてにとった後、液を手のひらに広げて、手のひらを顔にあて、顔で泡立てるという行動が主流でした。顔で泡立てることで、洗浄するという意識でした。こんな時代に、泡状で出てくるということは、顔で泡立てる行為をなくすことになり、汚れ落ちに対する不安が出てくることになったのだと思います。きっと、そういった、洗顔行動み対する、当時の常識が原因の1つになって、失敗したのだと思います。


 

​​

7商品開発物語「泡で出てくる洗顔料」③

この商品を発売する前に、汚れ落ちが頼りないと思って、問題になるのではないかと思いました。 製品調査で、汚れ落ちが良いですか? と聞くのが従来の調査の聞き方でしたが、満足ですか? 不満はないですか? といった質問も追加しました。 「汚れ落ちが良いですか? 」と聞くとトップボックス40パーセントくらいで、「汚れ落ちが満足ですか?」 と聞くと60パーセントくらいでした。 満足で60パーセント出たので大丈夫だと思って発売しましたが、発売後、汚れ落ちが課題となりました。 調査で製品力を確認する時に、質問する言葉がとても大事だということを実感した商品でした。洗顔料では、お湯で顔を洗っても汚れ落ちに不満はないけど、汚れ落ちがいいと思わないといった感覚を見過ごしていたのだと思います。洗顔料は、お湯で洗うのに比べて、汚れ落ちがいいと感じないといけないカテゴリーなのだと、改めて思いました。

 

​​

8商品開発物語「日焼け止め」1

この商品は、1990年代前半に発売しました。当時は、まだ、体の肌は小麦色が美しいといった意識がある時代で、顔に日焼け止めをすることは、将来シミになるので予防しようといった意識は芽生えてきているという状況でした。商品は、日焼け止めとしての基本性能のべたつかない、白くならないという性能が高い商品でした。高い性能なので、広告して、大きな売上を作りにいくというのが常識の時代でしたが、広告をしませんでした。その結果、すぐに大きな売上にはなりませんでしたが、小さいながらも着実な利益を生みました。このような戦略をとったのは、消費者の意識が、日焼けすることにそれほど罪悪感がない時代に、日焼け止めの機能が高いからといって、大きな売上は見込めないと判断したからです。その後、消費者の日焼けに対する意識が変わってきて市場が大きくなるとともに、売上も大きくなりました。老舗商品となったからだと思います。消費者の常識を考えながら事業を考えることはとても大事だという経験をしました。


 

9商品開発物語「日焼け止め」2

日焼け止め商品は、日や機に対する効果としてSPFという値があります。当時は、このSPFの表示に対するルールがない時代でした。SPFという値は直射日光にあたったダメージ(20分でサンバーン起きる人の時)をどれでけ伸ばせるか?という値です。日常生活で2時間当たるならSPF10あればいい、海やめで16時間当たるならSPF48が程度でいいです。当時、SPF80やSPF14といった表示の商品もありました。24時間当たってもSPF72あればいいのです。その後、業界としてSPF51以上は表示しないというルールができました。消費者にとって、数字が高いほうがいいと思いがちですが、オーバースペックであることがあります。この数字の意味を、消費者に説明することが、メーカーとして、とても大事だと勉強した商品でした。1990年代は、まだ、そこまで一般化していなかったのかもしれません。世の中の常識は、変化しますね。コロナを経験して、常識が変化していると思って商品開発しないといけないですね。

10商品開発物語「クールタイプ洗顔料」1

この商品は、1990年代前半に発売しました。競合メーカーから、メントールが入った洗顔料が発売され、シェアを大きく伸ばしてきて、競争戦略で対抗商品として開発を行いました。このすーっとする感触の洗顔料は、夏場に売れる商品で、洗顔したあとに自転車に乗ると顔がすっとするという感触の商品です。当時商品が売れたことを確認して、対抗するために翌年発売を目標に商品開発をしました。開発を開始したのが9月。調査をするのが11~12月にしました。こんな時期にすーすーする商品を消費者に使ってもらって、すーすーするレベルを決める調査をしましたが、季節が違うので、すーすー感の好みを聞いても難しく、強さ、持続、比較などしながら、レベルを決めました。季節商品は、その商品を使う季節に調査をしないといけないとつくずく思いました。その後、商品開発スケジュール管理で9~10月には実施できるようにしました。

11商品開発物語「クールタイプ洗顔料」2

この商品は、洗顔した後、涼しくすっとした感触の洗顔料です。涼しくすっとした感触の洗顔料と訴求すると、夏場しか売れない商品になり、年間通じて定番におかれません。このすっとした感触を、さっぱりタイプの洗顔料とすると、年間通じて提案に置かれます。季節商品として、その季節に強く出るか、年間商品として、強さはないけど定番をねらっていくのかが、大きく戦略として違います。自分の会社、ブランド力によって、どちらの商品像をねらっていくのかが変わると思います。こういったことを理解して、同じような製品を、どのような商品に仕上げるのかを考えることが、とても大切です。この時は、新発売時は、競争戦略で、涼しい夏場商品として発売し、数年後には、さっぱりタイプの洗顔料として通年商品にしました。その時の競争状況、ブランド力、消費者の意識・変化をとらえながら変化していくことも大事だと思います。

12商品開発物語「クールタイプ洗顔料」3

 

この商品は、1990年に発売した商品です。今、洗顔料の市場を見ると、クールタイプで夏にすっとする使用感の商品がありません。過去に発売してこのクールタイプの商品が無くなったのですが、改めて、今、新発売したら、今の消費者にとっては新しい商品として受け入れられるではないかと思います。

過去に廃止した商品でも、時代が変わったり、消費者の意識が変わると、同じ商品コンセプトでも成功すると思います。その時は、過去の失敗の経験を分析して、製品のひんやり感などの仕上げ方を変えるのはもちろんですが、同じ失敗をしないように戦略も考えておかないといけないと思います。

13商品開発物語「化粧水のような水状の洗顔料」


1990年代に、化粧水のような水状の洗顔料を発売しました。洗顔後は、きゅっきゅとしてさっぱりとした洗い上がりでした。泡状の洗顔料は洗顔直後のぬるつき感が好まれなかったことの反省で、今度は、きゅきゅっとしたさっぱりする使用感にこだわりました。さらに、見た感が化粧水のようで、スキンケアのイメージを持ってもらおうと考えました。洗顔しながらスキンケアができるイメージをねらいました。性能としても液状なので泡立ちも早くて洗顔料としての機能は満足出来る商品でしたが、売れませんでした。この商品の問題点は、液状にあったと思います。水のようで、洗浄成分が少ないというイメージがあったのではと思います。クリーム状の洗顔剤を水で薄めた感じと受け止められたのかもしれません。商品開発をするときに性能だけでなく、見た目も大事だと勉強しました。

14商品開発物語「化粧水のような水状の洗顔料」②


1990年代に、化粧水のような水状の洗顔料を発売しました。この商品を発売する時にデザインについて考えました。店頭では商品特徴が伝わり、目立つデザインになっていて、使うときには、シンプルなデザインにしようと思い、文字が容器に書かれていないようにしました。方法は容器にシュリンクフィルムを使ってボトルを覆うという包装仕様にしました。今では当たり前だと思いますが、当時の、日用品では、化粧品のような考え方がなくて、コストアップになるのに、そんな包装仕様にするのはどうなのか?といった議論がありました。商品は「買うとき」「使うとき」で見た目が違うことも大事なことだと考えるきっかけになる商品でした。あと、「保管するとき」「廃棄するとき」など、商品のサイクルを考えることが、とても大事な商品開発ですよね、

 

15商品開発物語「化粧水のような水状の洗顔料」③


1990年代に、化粧水のような水状の洗顔料を発売しました。これまでは洗顔料はペーストの状態が主流で、この水状の剤型は新しかったです。しかも、訴求が化粧水のようなスキンケアでした。新しい提案のある商品は、0.3歩先の提案は、比較的早く受け入れられますが、1歩先を行く提案は、時間がかかるつもり3~5年かかるつもりで、マーケティング費用、売上を考えないと失敗します。1歩先行く商品なのに、すぐに売るつもりでマーケティングをすると、3年目の累積赤字がふくらみ廃止商品になってしまいがちです。商品力を見定めて売上、マーケティングコストをみつもることが大事と感じた第2弾の商品でした。第1弾は泡ででてくる洗顔料でした。

16商品開発物語「男性用洗顔料」

 

1990年代前半に男性用洗顔料を新発売しました。この商品は、ものすごい早さで商品化をしました。処方案を1日で研究と決めました。競争戦略を実施すると決めたらスピーディな商品開発が出来るという体験をしました。研究、開発、マーケティングが一体となって、スピーディに仕事をすると出来るものだと思いました。男性のデプス調査を実施したのは、この時が初めてでした。洗顔の感触、使用感、実態、洗顔行動、意識などを調査しながら仕上げました。発売してみると、男性だけではなく女性もさっぱりする、汗や皮脂が落とせていい、男性用だから効きそうといった声が出てきました。メーカーが想定したターゲット以外に広がることはいいことだと思います。商品の特徴が明確な商品はターゲット以外に広がることがあると学びました。商品特徴が弱い商品はターゲットを明確にして、ターゲットだけになることが多いと思います。強い商品特徴のある商品で、ターゲットを絞って明確化しても、消費者は勝手に商品を理解して、ユーザーが広がるのだということを学びました。

 

17商品開発物語「ハンドラップ式化粧水」

 

1990年後半に、化粧水の容器の上部がポンプになっていて、ポンプの上部が平らになっていて、コットンパフを手に持ち、上から下に押すと化粧水が出てきてコットンパフに化粧水がしみこむよいう容器(ハンドラップ式)の化粧水を発売しました。容器がユニークで使いやすく、発売時は売れて、シェアNo1になりました。ですが、数年後に、商品はなくなりました。この原因を考えると、基礎化粧品は、中身以外のユニーク性、利便性で商品特徴を作ると、奇をてらった感じになり、ロイヤルユーザー化になりにくように思います。基礎化粧品は中身の魅力で商品力を高めていかないといけないと思いました。ただ、今、また、この商品を新発売すると、ヒットするように思います。

18商品開発物語「ハンドラップ式化粧水」②

 

化粧水の容器の上部が平らな形のポンプになっていて、コットンパフを手に持ち、上から下に押すと化粧水が出てきてコットンパフに化粧水がしみこむよいう容器(ハンドラップ式)の化粧水を発売しました。この商品を、今、発売するなら、片手で化粧水が使えることに価値がある商品として仕上げていくと思います。すなわち、片手で化粧水を取って塗布したい場面を考えると、、、、歯を磨きながら、化粧水をつけるとか、料理をしながら化粧水をつけるとか。また、塗布する商品が化粧水ではなく、美容液にするとどうなんだろうとか、この容器の持つ特徴と、消費者の行動。行動する時の消費者の気持ちを読んで商品開発をすると、発想が広がると思います。容器のコンセプトを活用して商品コンセプトを考えるのもいいと思います。今なら、新しさがあると思います。昔の商品を、今、仕上げ方を考えれば新しい商品になると思います。

19商品開発物語「ハンドラップ式化粧水」③

 

化粧水の容器の上部が平らな形のポンプになっていて、コットンパフを手に持ち、上から下に押すと化粧水が出てきてコットンパフに化粧水がしみこむよいう容器(ハンドラップ式)の化粧水を発売しました。この商品開発で学んだことは、日常的に習慣化しているカテゴリーに新しい商品提案をすると、はじめは面白い、変わった、新しいからという理由で売上がのびますが、しばらくすると落ちてきます。結局、新しいのも好き、変わったもの好きな人をと初めにとっても、その人たちは、次の新しい商品に変わっていくからだと思います。変わった商品を出す時には、1度かったら癖になる様相を盛り込んでおかないと、変わってるだけの商品ではリピートが来なくて、マーケティング効率が悪くなります。商品に、そのカテゴリーとしての本質がある商品に仕上げておかないといけないと思います。

20商品開発物語「ティント乳液」①


1990年後半に、ティント乳液を発売しました。ティントとは「淡い、ほのかな色」という意味で、この商品を使うと「ほんのり明るい肌色になる乳液」として新発売しました。スキンケア効果のある乳液とリキッドファンデーションが1つになった製品です。この商品は、すごく売れました。今では、BBクリームに近い商品です。この商品のすごいところは、1つの商品で、いくつもの使い方、カテゴリーになることです。手でささっと塗る便利な使い方、化粧下地としての使い方、日焼け止めとしての使い方、薄いリキッドファンデーションとしての使い方など。消費者が、自分の好みで、いろいろな使い方を考えられることでカテゴリーの広がるので、すごく売れたのだと思います。消費者が商品の特徴を理解して、いろいろな使い方を想像できる商品は売れるということをこの商品を通じて知りました。

21商品開発物語「ティント乳液」②


1990年後半に、ティント乳液を発売しました。この商品はオ-クル(黄土色)、ライトオークル(薄い黄土色)の2色でだしました。この商品に出会うまで、ファンデーションのことはまったく知らなかったです。それで、なぜ女性はファンデーションをするんだろうと考えました。ファンデーションはメイクか基礎ケアか?色ものという見方をすればメイクですが、素肌をきれいにすると思うと基礎ケアだなと思いました。普通のファンデーションはパフを使うから、メイクっぽいのだと思います。このティント乳液は手で取って肌にぬるという使い方で。この使い方が新しい商品のポジションに導いたのだと思います。手にとって、顔に塗る手軽さを基本にしました。もちろん手にいろがつくというネガティブがあることは認識していました。このころから、商品は、万人に満足されるということはあきらめて、ターゲットの人の満足を考えた商品の仕上げ方が大事だということに気づいてきたのだと思います。1990年後半でした。

22商品開発物語「ティント乳液」③

 

1990年後半に、ティント乳液を発売しました。この商品は、幼稚園のお見送りや急な来客の時にささっと使う使い方以外に、OLが、普段はきちんとメイクをして出かけるのが、土日にゆっくりする時に、軽いメイクとして使う使いかtがあります。このような使い方しかしないと、1本商品を買うと、100回使えるので、50~100週で、次の商品購入となります。平均1年半です。この商品は発売したときに、すごく売れました。ですが、売上が少しづつ落ちてきて、リピートを調べてみたら、こんな実態がわかりました。商品設計で、使い切り期間はだいたい3か月ぐらいが、商品の回転を考えるといいようですが、この商品は、リピートが長すぎました。発売時がよくても翌年からの売り上げが伸びないです。アイテム追加をして対策は打ちましたが、商品設計時に使用期間を考えておくことは大事です。

23商品開発物語「ティントパウダー」①

 

1990年後半に、ティントパウダーを新発売しました。ティント乳液が成功して、その第2弾として発売しました。この商品はスキンケア効果のあるパウダー状のファンデーションでした。何か新しいことをしたいと思い、コンパクト容器に工夫をしようと思い、上蓋が勢いよく開いて簡単に開けられるようにしました。ほぼ容器コンセプトは決定していましたが、開発途中で女性が入ってきて、問題点を言ってくれました。容器を開けると、上蓋が勢いよく開くので、コンパクト容器を落としてしますと。それまで、男性がしっかり持って、面白いといいながら本部長承認とったのですが、そんな当たり前の問題点に気付かず商品化しようとしていました。この時に、面白い奇抜なことをするときは、しっかり現実の意識実態を理解しないといけないということを学びました、

24商品開発物語「ティントパウダー」②

 

1990年後半に、ティントパウダー(薄い肌色パウダー)を新発売しました。この商品の前にティント乳液を発売していてヒットしていました。それのパウダータイプの商品として発売しましたが、ちょっとパンチ力がなかったように思います。薄型で、メッシュから粉状の商品で、薄めの肌にふわっとついた薄付のパウダーファンデーションとい位置づけになっていたと思います。ティント乳液はリキッドファンデーションと乳液が合わさったという新しさがありましたが、結局、この商品は、従来のパウダーファンデーションの延長線にある商品だったと思います。剤形が違うと、同じコンセプト、切り方だと思っても、そうなっていないことがありますね。このあたりは、意識して、注意して商品コンセプトを仕上げていかないといけないと思います。

25商品開発物語「Tゾーンさらさらジェル」

 

1990年後半に、顔のべたつきを感じやすいTゾーン(おでこ、鼻)にこの商品を塗布するとべたつきのないさらっとした感触になる商品を発売しました。この商品を使うと、べたつきが抑えられるので、ファンデーションの浮きが防止できます。この商品の開発で学んだことは、ターゲットを明確にして特徴のある商品を提案すると売れということです。ただ、その仕上げ方は、化粧品の場合には、マイルドなレベルにしておくほうがいいと思いました。さらさらの仕上げ方が、すごい驚きのさらさらではなくて、使用感がいいさらさら感で、機能的に実感があるレベルを狙っていくことが大事だと思います。コスメティックな分野に商品を出す時と、実用品的なスキンケアでは仕上げ方が違うと思います。同じカテゴリーの商品でも、どのような売り方をするのかによって商品の仕上げ方が変わります。このあたりも商品開発をする時に注意するといいと思います。

26商品開発物語「めぐりズム」1

めぐりズムは2003年に始まりました。当時、商品開発の力が低下していて、商品のヒットが生まれにくくなってきていました。それまで、開発部門とマーケティング部門は別の組織になっていてたのですが、2000年の頃に、マーケティング部門に開発部門が吸収されることになりました。その流れに巻き込まれたくなく、商品開発部門が主体となって事業を立ち上げたいと思い、当時の部長が、マーケティング部門とは別にプロジェクトチームを作って、ヘルスケアをテーマとした事業を作ろうということで、スタートしました。当時、会社に、清潔、美というテーマは存在していましたが、健康というテーマでの考え方がなくて、1年間かけて生まれたのが、「デイリーヘルスケア」という考え方でした。

27商品開発物語「めぐりズム」2

「デイリーヘルスケア」のコンセプトにたどりつくまでには右往左往しました。メンバーのある人は、注射をしようとか、サプリメントをしようとか、医薬品をしようとかといろいろな考え方が出てきました。当時、サプリメント市場が伸びていて、新しい市場を狙うという意味ではサプリメント市場を狙うこともあると思いますが、花王は毎日の生活に密着した商品が多く、病気になったら改善する薬や、病気にならないための予防商品を出すよりも、毎日の暮らし方を変えることで、毎日、健康で快適な生活ができるようなヘルスケアが花王らしいと思いました。事業を考えるときに、自社の強みを活かすことが大事だと思います。2000年ころに、多くの社外の人と会って、新規事業について議論しました。多くの会社の人たちは、今の自分の会社が強い分から離れた分野・カテゴリーに参入しようとしていましたが、自社の強みを活かした事業計画がいいのにと思いました。

28商品開発物語「めぐりズム」3

デイリーヘルスケアの事業コンセプトを作ると同時に、技術をどうするのかを考えました。新しく技術を作ると、5~10年かかる仕事になるので、今、自社にある技術を使おうと考えました。研究の室長に、花王の特長ある技術の一覧表を作ってもらい、どんな技術があるのかを整理しました。そうすると、血行促進技術が強いことを改めて気づきました。バブ入浴剤、サクセス育毛トニックなどの中に、蒸気温熱技術がありました。この時期に、中学の友達と久しぶりに会ったときに、「サクセスを20年間、月に2本ペースで使い続けたらよかった」言われて、これはすごいことだと思いました。毎日、育毛をし続けるとこんなにもすごいことが起こるのだと目の当たりにしました。毎日のヘルスケアの価値を実感しました。

29商品開発物語「めぐりズム」4

めぐりズムは、これまでの花王の商品のマーケティングとは違うマーケティングをしないといけない商品だと思いました。マス広告をするのではなくて、知のめぐりをよくすることの生活価値を伝えることと商品の体験をセットにしてこの商品のよさが実感できる人や場面を考えて、体験マーケティングを行いました。「へー情報」もいくつも作りました。例えば、冬のゴルフの時に、めぐりズムを朝出かける時に腰に貼ると、第一打がオービーになりにくい。といった情報を考えて、ゴルフをする人にめぐりズムをすすめたりしました。他にも、専門家がいい商品だと思ってくれて、専門家から、消費者に推奨するような仕組みを作ったりと、手間暇がかかるので、瞬発力がなく時間がかかる仕事になりました。体を温めるとがいいことだという常識を作らないと商品売れないと

思っていましたから。

30商品開発物語「めぐりズム」5

めぐりズムで不大事な技術は「蒸気温熱」です。初めて、この技術に出会ったときに、真っ先に出た言葉は、「カイロと何が違うのですか?」でした。その時の研究の担当者に人に、この言葉を言ったとたんに、怒っていなくなりました。きっと、それまでに、何度も言われてきたのだと思いますし、担当の人は本当にすごい技術だと確信していたのだと、後で、思いました。この蒸気温熱技術は、気持ちいいという実感はありますが、どんな効果かを説明することに、すごく時間がかかりました。気持ちいいことが、体や心の健康にいかに重要かを消費者に理解してもらえるかが重要でした。初めて出会った時に。カイロとの違いは気持ちいいだけだと思い、効果がないと思っていました。自分が最初に感じたことが、一番の課題でした。

31商品開発物語「めぐりズム」6

めぐりズムの一番最初のデプスインタビューの話をします。シート状の鉄粉がめぐりズムのキー技術でしたので、幅7センチ×長さ50センチくらいのテープ状の試作品を作りました。この試作品を腕、肘、脚、ひざ、首など、体のいろいろな部位に使ってもらいました。そう使うことの価値をよくわかっていなくて、シート状のカイロの何がいいのかわからないので、ちょっと聞いてみようというノリでした。実際に、調査をすると、対象者からは、「気持ちいい」が連発でした、当時は、気持ちいいだけのカイロって売れるのかなーと思いましたが、アンケート対象者が、必死に、この気持ちよさはすごいっていうのです。あとになって、この価値がわかりましたが、当時はよく理解しないまま仕事をしていましたが、この気持ちよさに何か価値があると感じて仕事を進めていました。

32品開発物語「めぐりズム」7

めぐりズムの一番最初のデプスインタビューで気持ちいいということが、すごく印象に残ったという話をしましたが、その後、この気持ちいいということをサイエンスしてほしいと研究室長に話しました。最初は、気持ちいい商品だからいいのだっていいはっていましたが、サイエンスがあると、商品購入したくなります。商品は、買う前の納得できる商品特徴、使って、また、使いたくなるリピートがないといけません。人は気持ちいいと感じるだけで、副交感神経優位となって、全身の血の巡りがよくなります。また、皮膚には温度を感じるセンサーがあって、35~40度で、気持ちいいと感じるセンサーは副交感神経を優位にします。このメカニズムを理解してもらうことで、購入するときに納得できる商品となったのだと思います。また、開発担当者も商品に自信をもって仕事が出来たのだと思います。

33商品開発物語「めぐりズム」8

めぐりズムと出会ったころ、自分自身が手荒れがひどくて、手の皮がめくれれて、夜はハンドクリームを塗って手袋をしないといけないくらいひどかったです。そんなときに、蒸気温熱の試作品をもらって、腰をずっと3か月以上温め続けました。そうしたら、1~2か月したころには、手荒れがおさまってきて手の皮をぬくことをしなくてもいいくらい、かさつくレベルになってきました。これが、蒸気温熱のおかげなのかはわかりませんが、自分としては、腰を温めることで、気持ちいいと思い、手の平が、いつもぽかぽか温かいので、きっと、腰を温めることで、脳が気持ちよくなって、全身、手の平、足先などがぽかぽか温かい感じ、きっと血のめぐりがよくなって、肌がよくなったのだと思います。こんな経験をしたことで、この蒸気温熱はなにかあると確信しました。自分が実感するというのは、商品開発する上で強い気持ちで推進できると思います。

34商品開発物語「めぐりズム」9

めぐりズムは新発売時にベルトタイプを出していました。今は発売していませんが、この商品は、腰に蒸気温熱シートが、10センチ×20センチくらいの大きさで、ベルトのポケットに入れて使います。初期の開発当時は、男性だけで商品開発をしていました。サンプルを作って、調査をすると、ずれるという意見が出て、なぜなのかわかりませんでしたが、社内の女性に使ってもらってその装着してる様子を見ると、すぐにわかりました。女性の腰はくびれているという当たり前のことがわかりました。くびれていることを考慮した商品仕様にすることが出来ました。改めて、3現主義(現物、現場、現実)の大切さを理解しました。ターゲットに付けてもらう姿を見て仕様を決めないといけないですね。そんなこともあって、腰のフィットする腰ベルトを作ることができました。

35商品開発物語「めぐりズム」10

めぐりズムの新発売の時に、肌に貼るタイプも発売しました。この商品は肌に粘着剤が付く商品で、当時の花王としては初めて肌に粘着剤が付く商品ということで、肌に対する安全性をどう担保するのかがとても大変でした。初めてのことを、社内的に突破するのには物凄いパワーが必要だったので、メンバーも弱腰になっていましたが、肌に貼るタイプを出さないと、腰にベルトで巻くタイプだけだと簡便性やカッコ悪さといった観点から、絶対に発売しないといけないと自分は思い、研究の人を説得しました。もちろん、自分が社内を説得して仕事を進める覚悟がありましたが。とても大変な仕事になり、本当に当時の研究の人が一緒にへこたれず仕事をしてくれたことが、めぐりズムアイマスクに繋がったのだと思います。目先の苦労から逃げることで、どれだけの損失があるのかを考えて、突破する力を発揮することが大切かを学びました。

36商品開発物語「めぐりズム」11

めぐりズムアイマスク発売の当時は、目を温めるという常識はありませんでした。目が疲れたら、目薬をさすという常識の時代だったので、目は冷やしたほうが疲れに効くというのが常識でした。冷やすといい40%に対して温めるといい29%くらいでした。アイマスクを成功させるには、目を温めたほうがいいという常識を作らないと、いくら商品の宣伝をしても広がらないと思ったので、お医者さん、マスコミに対して、目を温めることは、こんなにいいという話をして、目は温めるほうがいいという常識を作りました。5年くらいしたら、間を温めるほうがいいと言う人が逆転してきました。最近、セミナー参加者に効くと、ほぼ、目を温めるといいという人になっていて、アイマスクが売れるベースが出来ていると感じています。

37商品開発物語「めぐりズム」12

めぐりズムアイマスクは掛けがあるから簡単便利に使えてヒットしたのだと思います。開発を始めた時は、耳掛けなしの商品仕様で進めていました。発熱体の上に目まくらをおいて目を温める商品でした。この商品仕様だと、横を向くと目まくらが落ちたりして使いにくかったです。耳掛けを付けるとは、実は難しく、いろいろな面でハードルが高かったです。この商品は目を温めて、気持ちよくリラックスする商品なのに、使い勝手が悪いと、リラックスできません。商品が提供する価値を考えたら、耳掛けの商品仕様が必須だと思ったので、どんなに困難なことがあろうとも、絶対に商品化しようと思い進めてきました。この要に、ちょっとした商品コンセプトのブレが、結局、大きく商品力を低下させることになります。商品の仕上げにはこのような注意点があります。

38商品開発物語「めぐりズム」13

めぐりズムは2005年に蒸気温める肌に貼るタイプで新発売しました。カイロと比べて、蒸気がいっぱい出ることで、肌から体の奥に40度の気持ちいい温熱が伝わる効果が高いのです。ですが、多くの人は、回路との違いがはっきりわからなくて、いくら「蒸気は気持ちよく効果がある」といっても伝わらないと思ったので、蒸気のメカニズム、蒸気とそうでない普通のカイロの温熱との違いを説明すると同時に、実際に商品を使ってもらうような商品と情報の発信をしました。商品を黙って渡して使ってもらっても効果実感が低く、使う前に情報をインプットして、使ってもらうことで、商品に対する納得性がアップし、効果の実感も高くなります。この経験から、商品にとって、いかに情報を発信することが大切かを学びました。

39商品開発物語「めぐりズム」14

めぐりズムは2005年に蒸気温める肌に貼るタイプで新発売しました。この商品の発売に合わせて、ニュースリリース、研究論文。学会ブース活動。健保組合へのアプローチを徹底的に行いました。「蒸気は気持ちよく聞く」という価値を、専門家から広めていこうと思いました。内容が専門的でむつかしいこと、専門家が推奨することで、世の中の常識が作られることを狙いました。もちろん、マスコミも。さらに、芸能界、政治家にも広げていきました。こちらは、肌に貼るタイプよりも、アイマスクのほうが効果がありました。めぐりズムは、消費者に直接の広告よりも、専門家、マスコミといった人たちに、商品、技術のよさを伝えながら、体験してもらう戦略をとりました。時間はかかりましたが、マーケティングコストもおさえながら、商品価値が深く浸透したと思います。

40商品開発物語「めぐりズム」15

体験マーケティングで大切なことは、商品特徴とターゲットを明確にして、その結果、口コミが広がり、じわじわと売上が上がって、体験した人はリピートが継続するようし仕込まないといけません。情報と商品使用をセットで行うことは当たり前ですが、その相手が、購入、リピートに繋がっていくのかを読んでしないといけません。もちろん、デープにするだけでなく、面展開もしたくなると思いますが、面展開するコストを考えながら効率よく実施しないと、利益が出ないどころか先行投資が大きくなって、会社から止めろと言われることが多いです。だいたいどこの企業も1〜3年で単年黒字を求められると思います。体験マーケティングは、お金をかけないで、効率よくヘビーユーザーを捕まえて、徐々にターゲットが広がり、リピートが高くすることがとても大事です。

41商品開発物語「めぐりズム」16

体験マーケティングをした方がいい商品と、しなくていい商品があります。市場創造するタイプの商品は体験マーケティングをおすすめします。一方、既存市場で、強い特長がり新しいタイプとして認められる商品は、マス広告をすることをするといいかもしれません。めぐりズムは、目を温めるという新しい習慣、カテゴリー価値を消費者に認知してもらわないといけないので、体験マーケティングを実施しました。25年前に新発売したシート状メイク落としは、既存市場の新しいタイプなので、マス展開をして、すぐに大きな売上となったのだと思います。この新市場を作る新製品か既存市場で新しいタイプの新製品かを見誤ると大きな失敗になることが多いです

42商品開発物語「めぐりズム」17

最近はテレビを見ないのでテレビ広告を見ない人も増えてきて、SNSなど口コミの威力が増してきたと思います。めぐりズムは2005年に発売しました。発売時からネットの活用をしてきました。マスコミの編集者への商品説明、インフルエンサーへの商品説明、血めぐりの考え方を広めるためのホームページを作り、専門家の人からの情報発信、ブログの発信など。商品の中身のスペックの「製品」でなく、商品のデザイン、ネーミング、商品特徴の「商品」はもちろんですが、最近は、さらに、人に言いたくなる情報を作り、その情報を発信する人にアプローチすることが大事です。こんなアプローチを2005年からめぐりズムは行っていたことは、進んだマーケティングをしていなのだと、今、思います。

43商品開発物語「めぐりズム」18

めぐりズムは、当初から海外、特に中国を意識していました。温める文化が中国にはあります。当時、中国に出張で行くと、ビールも常温で飲む人がいたり、足浴をしたり、体を冷やさないような意識があると思います。また、目に対する意識も高く、小学校で3時間目の授業が終わったら目のマッサージを学校でするということも聞いたりしました。中国でグループインタビューをしても、受入性が高く、中国で発売すれば、ヒットするだろうと思っていました。ですが、日本で話題になるのを待ってから中国に展開するという方針で、まず、日本で話題になるように頑張っていきました。日本で話題になる前に、同時に、中国に展開する考え方もあると思いますが、めぐりズムは日本でヒットしてからと決めました。

44商品開発物語「めぐりズム」19

めぐりズムはアメリカ展開を当初から考えていました。そこで、アメリカの会社の社員に使ってもらうアンケートをしました。そうすると、体に貼るタイプのめぐりズムを使ってもらっての意見は、温度がぬるいという声が多く出ました。温感がアメリカの人と日本の人では違うのだとわかりました。グローバル展開を考える時には、当たり前ですが、その国の習慣、常識を知ることも大事ですが、感性、感覚も違うのだと実感しました。当時アメリカで、P&Gからサーモケアという温熱商品があって、温めることで痛みを和らげるという商品が、飲む鎮痛剤よりも副作用がなく痛みを和らげる商品として展開していたので、アメリカ展開を狙っていました。海外展開は、いろいろ考えて新発売しないといけないと、改めて思いました。日本の商品を、そのまま売ればいいわけではないのですね。

45商品開発物語「めぐりズム」20

めぐりズムの新発売では社内突破力が必要でした。会社として初めてのことが多くて、それを1つづつ解決していかなくてはならなくて、説明する側も、説明を聞いて承認する側も、本当に本気で望むことが必要でした。初めて肌に粘着剤を使う商品でした。安全性の担保のために、実績のある粘着剤を探して、繰り返し繰り返し調査をすることで担保していきました。この仕事をするにしても、そこまでしても、商品は売れるのか?そんな面倒なことチャレンジしなくていいのではないか。といった声が、本当に多くの部門で言われました。でも、この商品が、消費者の人に喜ばれるという説明を一生懸命することで、突破してきました。あと、問題があれば、開発の自分が対処するということを言うことで進みました。突破する熱意だけで、承認したのだから責任はその部門が取るといった姿勢では、なかなかうまくいきません。他部門の責任もとる勢いが必要でした。

46商品開発物語「めぐりズム」21

めぐりズムの新発売では社内突破力が必要でした。目を温めるという新しい商品を新発売することに対する抵抗は大きかったです。1990年後半に、目を温める商品を発売したことがあって、すぐに廃止したということもあり、社内は懐疑的でした。その時に、失敗の原因を解析しました。耳掛けの仕様にしていなくて使い勝手が面倒なこと、新しい習慣の商品なので、マーケティングの手法が違うことを理解していなかったが原因で、その解析の話や、商品を使った人の迫力ある声と実際に技術の良さを説明して、いろいろな部門の偉い人に、一人づつ時間をとって、実感してもらい、商品のファンになってもらいました。会議で判断を求める前に、個人として商品に対するファンもしくは、このプロジェクトを推進する心意気のファンになってもらうことで、いろいろな課題も突破することが出来ました。

47商品開発物語「めぐりズム」22


大きなプロジェクトを推進する上で、メンバーのやる気を高め、まとめることが、もの凄く大切です。コツは、メンバーの中に、頑張らず、適当な言い訳をして、その場しもぎをしようとする態度発言に対して、リーダーは、徹底的に許さない態度をとることが大事です。もちろん、ハラスメントにならないようにしながら。みかん箱に、りんごが1つあっても、他のみかんは腐りませんが、腐ったみかんがあると、他のみかんが腐ってしまいます。腐ったみかんを取り除かないといけません。あと、メンバーがいいことをしたら、みんなの前で、感情を込めて褒めることが大事です。古い言葉ですが、アメとムチ。今の時代に合わせた方法で実施することがメンバーをまとめていく方法だと思います。
 

48商品開発物語「めぐりズム」23

大きなプロジェクトを推進する上で大事なことはとても大事です。その方法の1つに、メンバー個人の意見を聞いて、プロジェクトに反映させることが大事です。ほんのちょっとしたことでも、自分の考えたことがプロジェクトの中に入って、それを○○さんが言ってくれたから、プロジェクトがとても良くなったと、みんなの前で口にすることが大事です。自分の存在を商品の中に生かされていると自分で思えると、このプロジェクトを一生懸命成功させようと思うものです。プロジェクトに1人1人の考えをもりこむことが、パワフルな結果を産みます。軍隊のようなトップの言うことに従うという雰囲気は失敗しがちだと思います。

49商品開発物語「めぐりズム」24

めぐりズムを通じて自分自身も大きく成長したと思います。新商品を出す仕事と、事業を作る仕事は大きく違うと思います。ビオレでしてきた仕事は商品またはカテゴリー、(サブ)ブランドを作るという程度でしたが、めぐりズムは、ヘルスケア事業を起こすというレベルの意識で仕事をしていました。事業の核となるのは、理念。「人間の自己治癒力を高めることで健康な心と体でいられる」。それを支えるためには血のめぐりをよくすることを毎日の生活に取り込むようにすることが大事。これを実現させる商品を作ること、また、この健康知識を世の中の常識にすることがとても大事で、商品の特長だけを言っていても事業にならないと思って仕事をしてきました。これまでとはまったく違う仕事の仕方で、戸惑い、社内でも理解されないといった課題が多かったすが、社内を突破て、発売することができました。

50商品開発物語「めぐりズム」25

最後に、めぐりズムの関係者の人たちには感謝です。かなり強力なリーダーシップを発揮したので、理不尽と感じることもあったと思いますが、なんとしてもこの仕事を完成しなくてはいけないという使命を感じて仕事を推進してきました。数十人の人が5年以上の時間をかけてたとりついた新発売でした。もう二度とこんなきつい仕事はしようと思いません。でも、その分、達成感は半端なかったです。残念ながら、発売当初は、それほどヒットしなかったので、発売後も苦しい日々が続きましたが、このことは、イシューマーケティング(常識を作る)をしていたので、覚悟はしていましたが、社内でなかなか理解されなかったので苦しかったです。ビオレだけでなく、めぐりズムを成し遂げたことで、商品開発センスの幅が広がったと思います。めぐりズムに感謝です。

問い合わせ、社内教育、コーチングなどについては、waku@wakuwakuken.com  まで連絡ください。

bottom of page